【やってみた】いちご農家の直販サイト文章をAIで書いてみたら想像以上だった

167 業種別AI内製化

いちご農家が直販で稼ぐには「品質の高さ」より「物語の伝え方」のほうが差になる時代だ。そしてその「物語」を作る作業こそ、AIが最も得意とすることの一つだ。

私は宿泊業や不動産業の人間だが、農業の直販サイトを見るのが好きだ。なぜかというと、農家さんのサイトは「良い農産物を作る力」と「それを売る文章力」の間に、大きな差がある場合が多いからだ。素晴らしいいちごを作っているのに、商品ページが「甘くて美味しいいちごです。ぜひご賞味ください」で終わっている。

これは農家さんのせいではない。文章を書くのは本業ではないし、そもそも時間がない。だからこそAIの出番だと思い、今回は実際に私がプロンプトを作って、AI(ChatGPT)に本気でいちご農家の直販サイト文章を書かせてみた。

実際にAIに頼んでみた

試みたこと

いちご農家(仮:栃木県・高設栽培・品種はとちあいか中心・観光農園も併設)の直販サイトに必要な以下の3種類の文章を作ってもらった。

  1. トップページのキャッチコピー+導入文
  2. 品種ごとの商品説明文(とちあいか・スカイベリーの2品種)
  3. 農家ストーリー(「私たちについて」ページ)

プロンプト1:トップページキャッチコピー+導入文

【プロンプト全文】
栃木県の高設栽培いちご農家「〇〇いちご園(仮)」の
直販サイト用トップページのキャッチコピーと導入文を作成してください。

【農園の特徴】
- 栽培方法:高設栽培(腰の高さで摘める・清潔・傷みにくい)
- 主力品種:とちあいか・スカイベリー
- 観光農園も併設(1月〜5月いちご狩り)
- 農薬は使用しているが、栃木県の「エコファーマー認定」取得済み
- 直販サイトでは収穫後24時間以内に発送
- 送り先は全国対応

【ターゲット】
- 贈答用(親戚・取引先・ちょっとした手土産代わり)に使いたい人
- 子どもに美味しいいちごを食べさせたい母親
- ふるさと納税の選択肢として検討している人

【条件】
- キャッチコピー:30字以内で3パターン
- 導入文:200字前後・読んだ人が「注文したい」と感じるトーン
- 農薬について正直に書きつつ、安全性への配慮を伝える表現にすること

AI回答全文:


【キャッチコピー 3パターン】

  1. 「摘んだその日に、あなたの食卓へ。栃木のいちごを直送します。」

  2. 「一粒に、栃木の空気と農家の誇りを詰めました。」

  3. 「子どもの笑顔が変わる、本物のいちごがここにある。」


【導入文】

栃木の大地で、毎朝ひとつひとつ丁寧に摘み取ったいちごを、収穫から24時間以内にお届けします。高設栽培で清潔に育てられたいちごは、甘みと酸味のバランスが抜群。栃木県エコファーマー認定を受けた、安心・安全な栽培方法へのこだわりも、ぜひ知っていただきたいことのひとつです。贈り物に、自分へのご褒美に、特別なひとときをいちごと一緒に。今が旬の一粒を、どうぞ。


プロンプト2:品種別商品説明文(とちあいか・スカイベリー)

【プロンプト全文】
栃木県産いちごの直販サイト用に、以下の2品種の商品説明文を作成してください。

【共通条件】
- 各品種300字前後
- 「この品種はこういう人・場面におすすめ」という使い方提案を含める
- 食感・香り・甘み・酸味を具体的に描写する
- 専門用語は使わず、いちごに詳しくない人にも伝わる表現で

【品種1:とちあいか】
- 栃木県が開発した新品種(2022年本格デビュー)
- 「とちおとめ」の後継品種として期待されている
- 特徴:大粒・甘みが強い・果汁が多い・日持ちがよい
- 果皮が柔らかく傷みやすいため、産地直送が特に価値を持つ

【品種2:スカイベリー】
- 栃木県産ブランドいちごの最高峰
- 特徴:大粒(1粒25〜50g)・円錐形で形が美しい・糖度と酸味のバランスが良い
- 贈答用として高い人気
- 果皮が硬めでギフトに向く

それぞれに「おすすめの食べ方」も一言添えてください。

AI回答全文:


【とちあいか】

栃木県が10年以上の歳月をかけて生み出した、まさに「次世代のいちご」です。一口ほおばると、果汁がじゅわっと広がる豊かな甘みと、鼻に抜ける華やかな香りが印象的。大粒でありながら果皮が柔らかく、採れたての繊細な美味しさは、産地直送だからこそ味わえる特権です。

「とちおとめ」に親しんできた方にも、「もっと甘いいちごを食べたい」という方にも、自信を持ってお届けできる一粒です。自宅でそのままパクっと食べる「一粒食べ」が最高の食べ方。冷蔵庫で軽く冷やして、ヘタを取らずに丸ごとどうぞ。


【スカイベリー】

見た目から違います。縦に長い円錐形のフォルム、ツヤのある赤、そして手のひらに乗せると「大きい」と思わず声が出る存在感——これがスカイベリーです。糖度と酸味のバランスが絶妙で、甘すぎず飽きない味わいは、いちご好きから「これが一番」と評されることも。

贈り物にふさわしい品格と、食べたときの満足感を兼ね備えた、栃木のフラッグシップいちごです。半割にしてパンナコッタやショートケーキに添えると、断面の美しさでテーブルが一気に華やかになります。


プロンプト3:農家ストーリー(「私たちについて」ページ)

【プロンプト全文】
いちご農家の直販サイト「私たちについて」ページの文章を作成してください。

【農家のプロフィール(架空・一般化した設定)】
- 栃木県在住・家族経営(夫婦2人+繁忙期は親族サポート)
- 先代から引き継いだ農地で、就農20年
- 以前は会社員だったが、親の高齢化を機に就農した経緯
- 高設栽培への切り替えは10年前、「腰が楽になっただけでなく、品質も上がった」
- 年間1,000組以上が訪れる観光農園も運営(子どもの笑顔が原動力と語る)
- 直販を始めたきっかけ:コロナ禍で観光農園が閉園した際、「遠くのお客様に届けたい」と思ったこと

【条件】
- 400字前後の一人称の語りかける文体
- 農家の「人柄」と「こだわり」が伝わる内容
- ストーリーとして読み進められる構成
- 最後に「だから直送にこだわっています」という結びに自然につながる流れ

AI回答全文:


会社員を辞めて農家になったとき、正直、自分にできるかどうか自信がありませんでした。でも、親が丹精込めて作り続けてきたこの畑を、誰かに任せることがどうしてもできなかった。気がつけば、いちごと向き合って20年が経っていました。

10年前に高設栽培に切り替えたとき、最初は「先代のやり方を変えていいのか」と葛藤しました。でも実際にやってみると、いちごが傷みにくくなり、甘みが安定して、自分でも「これだ」と思える品質になった。腰が楽になったのはおまけです(笑)。

コロナ禍で観光農園を閉じなければならなかったとき、「遠くにいるお客様に届けたい」という気持ちから直販を始めました。毎年いちご狩りに来てくれていた家族連れのことが頭から離れなかったんです。

今も、摘み取ったいちごを翌日にお届けすることにこだわっています。農園で食べる味に、少しでも近い感動を届けたい——それだけが理由です。


かかった時間と感想

プロンプトを考えて入力する時間を含めて、3種類の文章が完成するまで約25分だった。

正直に言う。私の想像を超えた。「スカイベリーの断面の美しさ」という表現は私には思いつかなかったし、農家ストーリーの「腰が楽になったのはおまけです(笑)」という一文のリアリティは、AIが農業の現実を理解していることを示している。

もちろん、実際の農家さんの実体験・具体的なエピソード・地域の固有名詞を加筆すれば、さらに「自分の農園」らしい文章になる。AIが作ったのはあくまで「骨格」であり、そこに農家さんのリアルな血肉を加えることで完成する。

農家さんが苦手な文章作業の「つらい最初の一歩」をAIが担う。それだけで、直販の世界はぐっと変わると私は思っている。


山崎恭平/AI内製化総合研究所 所長
株式会社インバウンドホールディングス専務取締役。営業と交渉の世界で成果を上げてきた一方、パソコン作業は横で支えてくれる事務方に頼りきりだった。AIの登場で、一番苦手だったパソコン作業が「自分でできる」に変わり、気づけば中小企業から上場企業まで10社以上のAI顧問を務めるように。スプレッドシートの関数すら分からなかった私でもできた——だから、誰でもできる。AIの学校や顧問にお金を払い続けるのは、本質的にもったいない。初期は人を頼ってもいい。でも最後は自分たちで内製してほしい。そんな思いで、このメディアを作った。

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