もし警備会社がAIを活用したら?求人から見えた人手不足の正体と処方箋

189 業種別AI内製化

警備業界の人手不足は「現場に人が足りない」だけでなく「管理・事務に人が足りない」という二重構造であり、後者はAIで確実に解決できる。

こんにちは、山崎恭平です。

警備業界は日本でも特に深刻な人手不足業種のひとつです。2025年問題として業界全体で語られてきたこの問題——警備員の高齢化と離職が重なり、現場人員の確保が年々困難になっています。

求人サイトで「警備会社 事務」「警備 管理スタッフ」と検索すると、こんな募集が並びます。「警備員の配置管理・シフト調整、報告書・日誌の確認・整理、クライアントへの連絡対応、新人警備員の研修補助、採用広告の作成……未経験・主婦・シニア歓迎」。

「未経験・主婦・シニア歓迎」——警備の専門知識がなくてもできる、と書いてあります。つまり管理・事務・コミュニケーション業務は、誰でも担える仕事であり、そこが慢性的に足りていないのです。

警備会社の現場と、求人票が物語る人手不足

警備業務は「現場警備(施設・交通誘導・イベント等)」と「管理・バックオフィス」の二層で成り立っています。

業界の人手不足は現場が注目されがちですが、管理部門の人手不足も深刻です。警備員の配置を日々管理し、クライアントからの突発的な人員増強依頼に対応し、日報・月報を集計してクライアントに提出し、新人研修の資料を整備し、採用広告を出す——これらすべてが管理スタッフ1〜2名に集中しているケースが中小警備会社では珍しくありません。

また求人を見ると「夜間・深夜対応可能な方」という条件が管理職にまで求められているケースがあり、24時間体制の現場に合わせて管理部門も疲弊していることが読み取れます。

求人から読み取れる3つの困りごと

困りごと①:シフト・配置管理と変更対応
「当日の急な欠員対応」は警備会社の最大の悩みです。誰がどこに配置されているかを常に把握し、欠員が出たら即代替要員を手配する。この調整業務は属人的になりやすく、担当者が不在になると機能しません。

困りごと②:日報・業務報告書の作成と提出
施設警備・交通誘導のどちらも、毎日の業務日報が発生します。警備員が現場で記入した日報を、管理スタッフが確認・整形・クライアントへ提出するという流れが発生しますが、件数が多いと処理が追いつきません。

困りごと③:採用活動の文書作成と応募者対応
警備業界は離職率が高く、常に採用活動が必要です。求人票の作成、応募者への返信、面接案内、採用後の説明書類……これらを外部エージェントに頼むと費用がかかりますが、内製化しようとしても時間がありません。

その困りごと、AIならこうなる

Before→After①:業務日報の整形・提出文書化

Before: 警備員が現場で書いたメモや口頭報告を、管理スタッフが1件ずつ報告書にまとめる。件数が多い日は残業が発生。

After: 現場メモをAIに貼り付けるだけで、クライアント提出用の整形済み報告書が数分で完成。

あなたは警備会社の管理担当者です。
以下の警備員の現場メモをもとに、クライアント(施設管理会社)に提出する「業務日報」を作成してください。

【現場メモ(警備員の手書きメモ)】
・日時:○月○日(○曜日)9:00〜18:00
・配置:【施設名・場所のプレースホルダー】正面エントランス
・入館者管理、来訪者受付、巡回(2時間ごと)
・13:20頃、来訪者1名が入館証なしに入ろうとした→声かけで対応、確認後入館許可
・15:45頃、施設内でお客様が気分不良→施設担当者に連絡、経過観察、救急要請は不要
・特記事項なし、巡回異常なし

【日報の要件】
・客観的事実のみを記述(主観・推測は除く)
・時系列で整理
・「特記事項」「通常対応事項」を分けて記載
・クライアントへの提出書類として適切な格調ある文体
・警備会社名・日付・担当者名欄はプレースホルダーで

Before→After②:求人票・採用関連文書の作成

Before: 求人票を作るたびに担当者が1〜2時間かけてゼロから作成。毎回内容が変わらないにもかかわらず。

After: 条件を入力するだけで、求人票・面接案内・採用通知・不採用通知がセットで生成。

警備会社の採用活動に必要な文書を一式作成してください。

【会社・求人情報】
・会社:【会社名プレースホルダー】
・募集職種:施設警備員(夜間警備含む)
・雇用形態:正社員・アルバイト両方募集
・資格:警備業務検定(なくても可・入社後取得支援あり)
・待遇:【給与プレースホルダー】・各種保険完備・制服支給

作成する文書:
1. 求人票(求人サイト掲載用・300字)
2. 応募者への書類選考通過連絡メール
3. 面接案内メール(日時・持ち物・アクセス記載欄付き)
4. 採用通知メール
5. 不採用通知メール(丁寧かつ傷つけすぎない文体)

各文書はプレースホルダー形式で、差し込みだけで使えるように作成すること。

導入ステップと費用感

ステップ1(月数百円〜): ChatGPT PlusまたはClaude Proを契約。業務日報の整形プロンプトを1本作成・テスト運用。管理スタッフの日報処理時間を計測し、効果を確認。

ステップ2(月1,000〜5,000円): 採用活動文書テンプレートを一式整備。求人票・面接案内・採用通知をAIで量産できる体制を構築。採用関連の外部委託費用と比較して費用対効果を検証。

ステップ3(数万円〜・補助金活用可): シフト管理ツールとAIを連携し、配置変更時の関係者への連絡を半自動化。デジタル化・AI導入補助金(最大450万円・補助率1/2〜2/3、最新の公募要領で要確認)活用を強くお勧めする。警備業界は補助金活用の実績が蓄積されてきており、支援機関への相談価値が高い。

よくある質問

Q. 警備業務は機密性が高いと思いますが、AIに情報を入れても大丈夫ですか?
重大な事案・個人情報・クライアントの施設情報などの機密事項はAIに入力しないことが大原則です。日報整形に使う場合も、施設名・クライアント名などはプレースホルダーに置き換えてから使用してください。

Q. 警備員のシフト管理自体もAIでできますか?
シフトの「自動生成」は専用のシフト管理ソフト(Shiftee・シフボなど)が向いています。AIは「作成したシフトの連絡文書化」「変更時のお知らせ文作成」「スタッフへの個別連絡文」の作成に活用するのが現実的です。

Q. 小規模の警備会社(スタッフ20名以下)でも使えますか?
むしろ小規模ほど管理スタッフへの集中負荷が大きいため、AI導入の効果が出やすいです。管理担当者1名の業務をAIで2〜3割効率化するだけで、体感は大きく変わります。


山崎恭平/AI内製化総合研究所 所長
株式会社インバウンドホールディングス専務取締役。営業と交渉の世界で成果を上げてきた一方、パソコン作業は横で支えてくれる事務方に頼りきりだった。AIの登場で、一番苦手だったパソコン作業が「自分でできる」に変わり、気づけば中小企業から上場企業まで10社以上のAI顧問を務めるように。スプレッドシートの関数すら分からなかった私でもできた——だから、誰でもできる。AIの学校や顧問にお金を払い続けるのは、本質的にもったいない。初期は人を頼ってもいい。でも最後は自分たちで内製してほしい。そんな思いで、このメディアを作った。

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