会計ソフト大手2社のAIエージェントが、この7月に出揃う見込みです。経理・労務の「作業」をAIに任せる選択肢が、専任のIT人材を持たない中小企業にも一気に近づいてきました。
何が発表/起きたのか(事実)
マネーフォワードは2026年4月7日、バックオフィス業務を自律的に遂行するAIサービス「マネーフォワード AI Cowork」を発表し、2026年7月より提供開始予定としました。公式発表によると、ユーザーとAIの自然言語による会話を通して、経理・労務・法務など多岐にわたるバックオフィス業務をAIが実行するサービスで、対象は「マネーフォワード クラウド」利用ユーザー。同日から先行受付が始まっています。なお、各社報道によると発表時点で料金体系は検討中とされており、最新の提供条件は公式サイトでの確認が必要です。
一方、freeeは2026年6月16日、「freee AIアシスタント」の提供開始と、「freee カスタムオーダー」の7月からの順次提供開始を発表しました。公式発表によると、freee AIアシスタントは、AIの専門知識がないユーザーでも、別のAIサービスを契約することなく、freee上のデータや機能を自然言語の指示だけで活用できるサービスです。ITmediaの報道では、自社の業務に合わせたAIエージェントを「10分で作成」できる点も紹介されています。
中小企業の内製化にとっての意味(当研究所の視点)
これまで中小企業のAI活用は、ChatGPTなどの生成AIを別途契約し、自社業務にどう組み込むかを自分たちで工夫する必要がありました。今回の動きが重要なのは、毎日使っている会計・人事労務ソフトそのものに、AIエージェントが載ってくるという点です。
1. 導入のハードルが大きく下がる
新しいツールを選定・契約しなくても、既存のfreeeやマネーフォワードの延長線上でAIに業務を任せる体験が始められる見込みです。「何から始めればいいか分からない」という最大の壁が低くなります。
2. 差がつくのは「ツール」ではなく「指示する力」
同業他社も同じソフトを使う以上、ツール自体は差別化になりません。どの業務を切り出し、AIにどんな指示を出すかという業務設計力、つまり「内製化の腕」が競争力の源泉になります。
3. 外注していた定型業務の内製化余地が広がる
記帳代行や書類作成など、外部に出していた定型業務を自社+AIで回せる可能性が出てきます。中小企業のAI導入率はまだ12〜20%程度とされ、いま動けば先行者メリットを取りにいける段階です。
では、何をすべきか(実務アクション)
ステップ1:定型業務の棚卸し
経理・労務の毎月の定型業務を書き出し、「誰が・月に何時間」かけているかを見える化します。ここがAIに任せる候補リストになります。
ステップ2:自社の会計ソフトのAI機能を小さく試す
freeeまたはマネーフォワードを使っているなら、各社のAI機能の案内ページを確認し、先行受付や利用可能な範囲から月次業務1つで試します。最初から全部を任せない。1業務で精度と時間削減を確かめるのが鉄則です。
ステップ3:社内ルールと「AI担当」を決める
情報の取り扱いルールを最低限決めたうえで、社内に1人「AI担当」を置き、成功した業務から横展開します。導入費用が課題なら、デジタル化・AI導入補助金(最大450万円・補助率1/2〜2/3)の活用も検討してください。経理の「作業」を外注費や顧問料で買い続ける時代は、終わりつつあります。ここまで来たら、作業代行だけの顧問は要らない。早く切っていい。
よくある質問
Q1. freeeとマネーフォワード、どちらを選ぶべきですか?
いま使っているソフトの延長で試すのが最短です。AI機能を理由にした乗り換えは、データ移行や業務変更のコストが大きいため、まずは既存環境のAI機能で「任せられる業務」を見極めることをおすすめします。
Q2. この情報は確かですか?
本記事は各社の公式発表と大手メディアの報道に基づいています。ただし提供時期・仕様・料金は変わる場合があるため、最新情報は文末の出典(公式サイト)で必ずご確認ください。
出典
・マネーフォワード公式:バックオフィス業務を自律的に遂行するAIサービス『マネーフォワード AI Cowork』を2026年7月より提供開始予定
・Impress Watch:「AIカンパニー」に転換するマネーフォワード 同僚のようなAI「AI Cowork」
・Business Insider Japan:マネーフォワード「2030年までにAIで150億円」。経理・労務業務がチャットになる「AI Cowork」発表
・freee公式:「freee AIアシスタント」と「freee カスタムオーダー」の提供を開始
・AI Watch:フリー、業務を自律的なAIに任せられる「freee AIアシスタント」提供
・ITmedia ビジネスオンライン:自社の業務に合わせたAIエージェントを「10分で作成」 freeeが「AI戦略」を強化
この記事を書いた人
山崎恭平/AI内製化総合研究所 所長。株式会社インバウンドホールディングス専務取締役。スプレッドシートの関数すら分からなかった私が、AIで一番苦手だったPC作業を「自分でできる」に変えた。だから誰でもできる。


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