東京都・自治体のAI関連助成金とは、都道府県・市区町村が独自に設ける中小企業向けのデジタル化・AI導入支援であり、国の補助金と組み合わせることで、AI内製化への投資コストをさらに抑えられる可能性がある制度群のことです。
国の補助金だけでなく、都道府県・市区町村の独自助成金も存在します。そしてこれらは「知っている人だけが使える」状態になっています。
私は複数の事業会社を統括しながら、補助金・助成金の情報収集を欠かしていません。その経験から言えることは一つ:「自治体の助成金は、国の補助金より地味だが申請件数も少なく採択されやすいケースがある」ということです。
ただし、自治体の助成金は変更・廃止・新設が頻繁で、内容の確認が最も難しいカテゴリでもあります。この記事では「探し方と考え方」を中心に解説します。具体的な金額・補助率・締切は必ず各自治体の公式サイトで確認してください。
1. 東京都のAI・デジタル化関連助成金の全体像
東京都は中小企業向けの産業支援施策を数多く持っています。主な窓口は「公益財団法人東京都中小企業振興公社」です。
東京都が提供してきた主な支援の傾向:
– ITツール・システム導入への助成(デジタル化・業務効率化が目的のもの)
– AI・IoTを活用した生産性向上への取り組みへの支援
– 専門家派遣制度(デジタル化・AI導入の専門家を無料または低額で派遣)
東京都独自の助成金で特徴的なのは、「国の補助金より小口で申請しやすい枠」があるケースです。数十万円規模の助成金は採択件数も多く、中小企業が「まず試してみる」投資に向いています。
注意:東京都の助成金は年度ごとに内容が変わり、名称が変わることも珍しくありません。現時点で存在する制度名を記事に書いても、読者が見るタイミングでは廃止・変更されている可能性があります。東京都中小企業振興公社の公式サイトで最新の公募情報を確認してください。
2. 東京都以外の自治体:地方の助成金を探す方法
東京都以外の都道府県・市区町村にも独自の助成金があります。地方に拠点がある会社、または地方に事業を展開している場合は特に重要です。
自治体助成金の探し方:
①各都道府県の中小企業支援センター・産業振興財団のサイトを確認する:「〇〇県 中小企業 デジタル化 助成金」で検索すると、各地域の支援機関の公式サイトに行き着きます。
②市区町村の産業振興課・商工課に問い合わせる:小規模な補助金は公式サイトに掲載されないケースもあります。「AI・デジタル化に使える助成金はありますか」と電話で問い合わせるのが最も確実です。
③商工会・商工会議所に相談する:地域の商工会・商工会議所は自治体の助成金情報を把握しています。「うちの会社で使える助成金を教えてください」という相談を無料で受け付けています。
④よろず支援拠点を活用する:全国に設置されているよろず支援拠点は、国・都道府県・市区町村の補助金情報を横断的に把握しています。無料で相談できるため、最初の窓口として最適です。
3. 国の補助金と自治体助成金の「併用」の考え方
国の補助金と自治体の助成金を組み合わせることを「重畳活用」と呼びます。適切に活用すれば、自己負担を大幅に抑えることができます。
基本的な考え方:
– 「同一の事業・同一の経費」への二重申請は基本的にできません
– ただし「異なる取り組み」「異なる経費」であれば、複数の補助金・助成金を同時期に使えるケースがあります
– 自治体助成金が「国の補助金との併用不可」としているかどうかは、各制度の公募要領に明記されています
実践的な戦略:
AI内製化への投資を複数の「取り組み単位」に分けて考えることがポイントです。例えば「AIツールの導入(IT導入補助金)」「社内研修・人材育成(別の助成金)」「ウェブサイトのAI対応化(持続化補助金)」というように、それぞれ異なる制度で申請できる構成を考えます。
ただしこれは「制度を知った上での計画」が必要であり、支援機関のアドバイスなしに自力でやるのはリスクがあります。よろず支援拠点や中小企業診断士への相談が最も効率的です。
4. 助成金情報を常に取りに行く仕組みを作る
補助金・助成金で失敗する会社の共通点は「締切を知らなかった」です。
情報収集の仕組みを作ることが大切です。
推奨する情報収集ルーティン:
– 商工会・商工会議所のメルマガ登録(毎月最新情報が届く)
– よろず支援拠点の定期相談(年2回程度)
– 中小企業庁「ミラサポplus」の補助金検索機能の活用(国の補助金データベース)
– 地域の産業振興財団・中小企業支援センターのサイトをブックマーク
AI内製化への投資を補助金で賄うことを戦略的に考えるなら、「使いたい補助金のリスト」を常に持ち、次の公募開始を待つスタンスで臨むのが賢明です。
よくある質問
Q1. 東京都に本社があり地方にも拠点がある場合、どちらの自治体の助成金を使えますか?
一般的には「事業を実施する場所」の自治体の助成金が使えます。本社所在地と事業実施場所が異なる場合は、各自治体の助成金の対象要件を確認する必要があります。複数の自治体からの助成を受けられるケースもあれば、主たる事業所の所在地のみが対象のケースもあります。個別の確認が不可欠です。
Q2. 補助金・助成金の申請を代行してくれる専門家はいますか?
中小企業診断士・行政書士・社会保険労務士(人件費系の補助金の場合)が補助金申請のサポートを行っています。代行費用は補助金額の10〜20%程度が相場ですが、不採択リスクも考慮した上で依頼するかどうかを判断してください。まずよろず支援拠点(無料)で相談してから有料専門家への依頼を検討する順序が費用対効果が高いです。
Q3. AIツールのサブスクリプション費用は助成対象になりますか?
ランニングコスト(継続的な月額費用)は多くの補助金・助成金で対象外です。「初期導入費・構築費・研修費」が対象になりやすいため、投資計画を立てる際は初期費用と継続費用を分けて整理してください。ただし制度によって異なるため、個別確認が必須です。
この記事を書いた人
山崎恭平/AI内製化総合研究所 所長
株式会社インバウンドホールディングス専務取締役。営業と交渉の世界で成果を上げてきた一方、パソコン作業は横で支えてくれる事務方に頼りきりだった。AIの登場で、一番苦手だったパソコン作業が「自分でできる」に変わり、気づけば中小企業から上場企業まで10社以上のAI顧問を務めるように。スプレッドシートの関数すら分からなかった私でもできた——だから、誰でもできる。AIの学校や顧問にお金を払い続けるのは、本質的にもったいない。初期は人を頼ってもいい。でも最後は自分たちで内製してほしい。そんな思いで、このメディアを作った。
🔗 関連記事:[IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金の違いと選び方]

