AIによる業務効率化とは、毎週繰り返す「誰でもできるのに時間がかかる作業」をAIに任せ、人間が本来使うべき思考・判断・コミュニケーションに集中できる状態を作ることです。
正直に白状します。私は3年前まで、メールの返信でさえ時間がかかる「PC音痴」でした。
タイピングが遅い。ファイル管理が苦手。社員に「このフォルダ、どこですか?」と聞いてばかりいた経営者です。
その私が今、宿泊約600室の運営企業の専務として、週20時間以上あった事務作業をほぼゼロにしました。特別なITスキルは使っていません。使ったのは、生成AIと、ちょっとした「仕組みづくり」だけです。
週20時間の事務作業とは何だったのか
まず自分の1週間の業務を書き出したとき、私は衝然としました。いかに「考えない作業」に時間を使っていたかに気づいたからです。
具体的にはこういった作業です。
- 毎週月曜朝の会議資料作成(90分)
- 各部門への業務報告書のまとめ(週3回×30分)
- 取引先・社員へのメール返信(1日1〜2時間)
- 事業計画の数字整理・資料化(月4〜5時間)
- 求人票・採用案内の更新・修正(月2〜3時間)
全部足すと週20時間超。まるで1日が丸ごと「事務」に消えていました。
私が実際に取り組んだ3つの自動化
取り組み1:朝会資料をClaudeに任せる
毎週月曜日の全社朝会で使う資料は、私が前週の動き・数字・今週の方針を口頭でまとめたものをベースに作っていました。これをまず「音声メモ→テキスト化→Claudeに渡す」という流れに変えました。
指示文はシンプルです。「以下の内容をもとに、朝会資料を作って。箇条書きで先週の振り返り・今週の数値目標・全体への一言メッセージの構成で」。これで90分かかっていた作業が10分になりました。
取り組み2:メール返信のひな形を大量作成
よくくる問い合わせパターンを20種類書き出し、Claudeに「この状況に対するビジネスメールの返信文を5パターン作って」と依頼。文体・丁寧さのレベルを揃えたひな形集を1日で作りました。
今は「このパターンのメールが来たらひな形Aを使う」というルールを社内で共有しています。私だけでなく、スタッフも活用しています。
取り組み3:報告書の「型」をAIで整備する
各部門からの報告書がバラバラなフォーマットで届いていた問題を解決するため、Claudeに「経営者が判断しやすい報告書フォーマットを作って」と頼みました。
できあがったテンプレートを全部門に配布したところ、報告の質が上がり、私の読み取り時間も半減しました。AIで「書く側」も「読む側」も楽になったわけです。
失敗談:最初はプロンプトが雑すぎた
最初の1ヶ月は、正直あまりうまくいきませんでした。「報告書まとめて」だけ打って、意図と違うものが出てきてガッカリする繰り返し。
気づいたのは、AIへの指示は「目的・形式・制約」を揃えるほど精度が上がるという点です。「朝会資料を作って」より「経営者視点で、数値目標と先週の振り返りを含む朝会スライド用の箇条書き3点を作って」のほうが、格段に使えるものが出てきます。
この「指示の質を上げる」訓練こそ、内製化で最初に身につけるべきスキルです。
まとめ:私でも20時間削減できた、あなたにもできる
私のような「PC音痴」でも、生成AIを使いこなせばこれだけの時間が生まれます。特別な知識は不要。必要なのは「まず1つやってみる」という意思と、「指示の質を少しずつ磨く」姿勢だけです。
AIは道具です。使う人間が変わることで、同じ道具でも成果は変わります。
よくある質問
Q1. 音声入力とAIを組み合わせる場合、おすすめのツールはありますか?
A. iPhoneの標準音声入力やGoogleの音声入力でテキスト化し、ClaudeやChatGPTに貼り付けるだけで十分機能します。専用の高額ツールは不要です。
Q2. メールひな形をAIで作ると、不自然な日本語になりませんか?
A. 一度作った文章を「もっと自然に」「もっと丁寧に」と何度か修正指示を出すことで仕上がります。最初から完璧を求めず、修正を前提に使うのがコツです。
Q3. 社員への情報共有はどのようにしましたか?
A. ひな形集をGoogleドライブで全員共有し、「使い方1分動画」を社内チャットに流しました。教えるより「すぐ使える状態を作る」ことが普及の近道です。
山崎恭平/AI内製化総合研究所 所長
株式会社インバウンドホールディングス専務取締役。営業と交渉の世界で成果を上げてきた一方、パソコン作業は横で支えてくれる事務方に頼りきりだった。AIの登場で、一番苦手だったパソコン作業が「自分でできる」に変わり、気づけば中小企業から上場企業まで10社以上のAI顧問を務めるように。スプレッドシートの関数すら分からなかった私でもできた——だから、誰でもできる。AIの学校や顧問にお金を払い続けるのは、本質的にもったいない。初期は人を頼ってもいい。でも最後は自分たちで内製してほしい。そんな思いで、このメディアを作った。
🔗 関連記事:[AI内製化とは?中小企業が今すぐ始めるべき理由と5ステップ]

